私がオーダーしたお薦めの生地 エスコリアルウールの6PLY

東京・銀座の街は、海外からの観光客の皆様が、まだまだどんどん増えておりますね。汗

私が出退勤時に銀座を歩く印象ですと、日本人よりも圧倒的に外国人の方が多いです。

当店のすぐ近くの某百貨店は、日本人とインバウンドの売上がほぼ半分ずつになったようです。

     

さて、今回は、「私がオーダーしたお薦めの生地」シリーズでございます。

いつからシリーズ化?と私自身も思っておりますが(笑)、当ブログをご覧いただいているお客様は、有難いことに、私が何をオーダーしたかをチェックしていただいておりますので、これからも出来る限りご紹介していきたいと思います。

      

ということで、今回ご紹介させていただく生地は、エスコリアル(ESCORIAL)でございます。

エスコリアルウール(ESCORIAL)については、今までお客様の出来上がりやショップにストックしている生地のご紹介などでブログに取り上げたことはございますが、「私がオーダーしたお薦めの生地」として初めてご紹介させていただきます。

    

まず、「エスコリアルウール(ESCORIAL)とは?」というご質問に簡単にお答えするのであれば、カシミヤとほぼ同じクオリティの高級生地とご紹介いたします。

山羊の最高峰はカシミヤ、羊の最高峰がエスコリアル、そしてラクダ科の最高峰が神の繊維ヴィキューナ(ヴィクーニャ)という感じですね!

    

エスコリアル(ESCORIAL)で、ググっていただければ、多くのウェブサイトで素晴らしいご説明がされておりますので、ご覧いただけたらと思いますが、他力本願過ぎるのも良くないので(汗)、歴史的な部分を少しだけご紹介させていただきます。

   

エスコリアルウール(ESCORIAL)について

14世紀、北アフリカのマグレブを起源とする、小さくて毛が極めて柔らかい羊の群れが、ムーア人に連れられてスペインに移動し、マドリッドの北西にある平原で放牧されていました。

その羊たちは、15世紀になってスペイン国王の所有となります。その羊たちから採れる羊毛からの選りすぐりが生地となり、ヨーロッパの王侯貴族の外套衣服(コート類)に使われるようになります。

その後、16世紀に入り、スペイン国王のフェリペ2世が、この北アフリカのマグレブを起源とする、クリームのように柔らかな毛をもった羊を、「エル・エスコリアル宮殿」にて「王家専用」として飼育させていたようです。

その後、エスコリアルの"純血種"は、フランスの皇帝ナポレオンのスペイン侵攻など、長い歴史の中でさまざまな災害から奇跡的に生きながらえ、現在はオーストラリアの南部とニュージーランドの南島の牧草地で飼育されております。

1998年、「エスコリアル」は世界的なブランドとして商標登録され、2002年には世界で最も繊維が細いウールとして認定されました!

エスコリアルの"純血種"は、メリノ種などの羊と比べて身体の大きさが半分以下で、収獲量はカシミアの1%にも満たないという希少性があり、原毛は約13マイクロンというカシミヤをも凌ぐ細さで、その重さはなんとカシミヤの半分でございます。

また、エスコリアルと他の上質なウールとの決定的な違いは、エスコリアルには、自然にコイル状に巻かれたバネのような繊維が生み出す強いシュリンク性があります。この特性が、柔らかなタッチを備えたドレープと、他にない豊かな弾力性を備えた生地を生み出します。

という、極上のウールがエスコリアル(ESCORIAL)でございます!

     

   

ショップで接客する際には、わかりやすくカシミヤと比較して、

「カシミヤをも凌ぐ極細の原毛で、カシミヤと同じようにソフトでクリーミーな風合いの生地で、カシミヤよりも希少性があり(収穫量はカシミヤの1%未満)、価格はカシミヤより少し安い」というご説明をさせていただいております!

    

ちなみに、現在、エスコリアルウールを取り扱えるのは、英国ウエストヨークシャー州のラグジュアリーファブリックス社でございます。

そのラグジュアリーファブリックス社の中で、オーダー用生地を扱うマーチャントが、STANDEVENでございます。

    

エスコリアルのバンチブックには、スーツ生地のTOLEDO(トレド)とジャケット・フランネル・コート生地を収録したESCUDO(エスクード)がありますが、2024年秋冬シーズン、COLLABORATION STYLEでは、ESCUDO(エスクード)をご用意しております。

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ただ、今回ご紹介するのは、ESCUDOではなく、こちらのBESPOKEというバンチブックでございます!(ESCUDOも日を改めて、ブログでご紹介させていただきます)

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BESPOKEシリーズは、国内の生地商社様が、独自に買い付けた生地で編集しているバンチブックですが、このバンチブックを取り扱っている商社様が、この度、エスコリアルの取り扱いをスタートするにあたりまして、ESCUDO(エスクード)とは別に、エスコリアルの原反生地を買い付けて日本国内に生地ストックを持ったコレクションをBESPOKE14としてご用意いたしました!

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ということは、通常のエスコリアルよりもお買得なコレクションでございます!!!

    

BESPOKE14に収録されているエスコリアルは、ESCUDOにも収録されているクオリティの生地はございますが、ほとんどの生地は、BESPOKE14にのみに収録されている生地でございます。

    

今回は、このBESPOKE14に収録されている生地の中から、とても珍しい6PLY(シックスプライ)の生地で、スーツをオーダーいたしました!

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カシミヤ以上に極細の原毛を使用した糸6本を撚って1本にした糸で(ややこしいですが汗)織ったマットウーステッド。

    

この6PLYの生地は、なんとこの1色だけございます。

とても深い色のチャコールグレーですが、見え方によってはネイビーのようにも見える、青みがかったとても高級感のあるチャコールグレーグレーでございます。

6PLYなので、いくら極細原毛のエスコリアルでも、目付は440-460g/mもございます。
そこがまたとても贅沢な生地でございます!

    

ということで、出来上がったスーツはこちらでございます!!!

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モデルは、先日のブログでご紹介させていただきましたNEW MODEL・PURPLE LABELでございます!

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深みのある色で、光沢もある、かなり良い感じのスーツに仕上がりました!

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個人的には、目付が400g/mを超える生地でスーツをオーダーしたのは、20年以上前にハリソンズのOYSTER(オイスター)でオーダーした以来で、450g/m前後の生地では全く初めてでしたので、どんな感じに仕上がるのかとても気になっておりました。

実際に仕上がったスーツは、手に持つとちょっとずっしりとしますが、着ると450g/mという数字ほどの重さは全く感じないという感想でございます。

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スーツの重さにつきましては、元々、COLLABORATION STYLEのスーツはとても軽い仕立てなので、ヘビーウエイトの生地でも他のブランドやお店のスーツに比べても軽く感じられると思いますが、エスコリアルの場合は、生地自体の重さがあっても、非常にクリーミーでソフトでもっちりとしたナチュラルな伸縮性があるので、身体にストレスが無く、数字よりもより重さを感じないのだと思います。

トロっとして、落ち感のある生地なので、ドレープもきれいに出ております。

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ということで、最高峰のウールと言われるエスコリアルウールの中でも、マニアックで希少な6PLYの生地は、私のオーダーしたお薦めの生地でございます。

   

6PLYはこの1色しか有りませんが、BESPOKE14のバンチブックには、エスコリアルのお得な生地がたくさん揃っておりますので、ざっとご紹介させていただきます。

    

まずは、310g/mの空気を含んだようにふんわりとしたジャケット生地のハウンドトゥース。

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340g/mのヘリンボンが3色。一番上のグレーのヘリンボンは、黒の部分が単純な黒ではなく少しネイビーがかっております。

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340g/mの英国らしい大きめなグレンチェックが2色。

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同じクオリティで、ガンクラブチェックが2色。

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390g/mのしっかりとした肉厚間のある生地で、ファンシーなグレンチェックが2色。

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そして、295g/mのライトウエイトフランネルのチョークストライプが2色。

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同じくハウンドトゥースが2色。

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そして、無地が5色。

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ここで、6PLY。

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530~550g/mのヘリンボンのコート生地が2色。

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ヘリンボンの幅が小さいので、ほとんど無地のイメージでお作りいただけます。また、少し厚手のジャケットやジャッコーネで作るのも良いですね。

    

    

そして、このBESPOKE14のバンチブックには、エスコリアル(ESCORIAL)の他に、4色だけですが、TAYLOR&LODGE(テーラー&ロッジ)の生地が収録されております。

TAYLOR&LODGEも英国の高級服地の名門ミルですが、現在は実質的に廃業状態でございます。英国は本当にどんどん服地会社が無くなり、資本力のある数社がM&Aでどんどん吸収合併しております。

   

このバンチブックに収録されている生地は、日本の服地商社が発注していた生地を最後に引き取ったものです。

まずは、570g/mのネイビーの幅広ヘリンボンのコート生地。

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元々、GOLDEN BALEとして生産された生地なので、もっちりとした風合いのとても良い生地でございます。

    

同じクオリティでダイヤゴナル(ツイル)が2色。

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そして、Archive Blazer という名称の420g/mのマットに織られたブレザー生地。

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英国製らしい張りのある生地で、ヘビーローテーションで着ていただけるブレザーに仕上がると思います。


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こういったヘビーな生地を、柔らかいイタリア仕立てで作るのは、イタリア人も好きな組み合わせですね。

     

ということで、今回は、「私がオーダーしたお薦めの生地 エスコリアルウールの6PLY」とBESPOKE14のバンチブックの生地をご紹介させていただきました。

    

現在、8月末~9月にかけてオーダーいただきましたスーツやジャケット、コートなどが、どんどん仕上がってきておりますので、インスタグラムでは随時ご紹介しております。

ぜひブログと併せてご覧くださいませ。

     

COLLABORATION STYLE 上原祥意