少し残暑があるものの、9月に入り、かなり秋めいてきました。
個人的には、今年は涼しくなるのが早い気がします。
洋服屋にとっては、涼しくなることは良いことですが、予想通り、東京は9月30日まで緊急事態宣言が延長されました。
世界的にwithコロナへのフェーズにシフトしておりますが、日本はもう少しかかりますでしょうか。
さて、今回は2021年秋冬シーズンに新しく登場した生地の中から、COLLABORATION STYLEでも不動の人気を誇る、イタリア・ナポリのマーチャント、CACCIOPPOLI(カチョッポリ)のコレクションをご紹介させていただきます。
世界的にコロナ禍の状況ですが、昨年とは違い、今年はどのメーカーも新しい生地を生産し、発表しております。
CACCIOPPOLIは、2021年秋冬シーズンは、Jacketのコレクションに21柄を新しく加え、コート用の服地・Coatsのバンチブックを6年ぶりにリニューアルしました。
そして、今までCACCIOPPOLIのコレクションには無かった、SUPER150'Sの高級原毛を使用しましたクラシックなスーツ生地・VESUVIO(ヴェスヴィオ)を発表いたしました!
今回は、このCACCIOPPOLIの自信作・VESUVIOをご紹介させていただきます。
まずは、この特徴的なバンチブックの表紙のご説明から。(生地のクオリティには関係ありませんがCACCIOPPOLIの思いが詰まっております...)
コレクション名のVESUVIO(ヴェスヴィオ)は、有名なナポリのヴェスヴィオ山から取られており、そのヴェスヴィオ山に手をかざしているのが、ナポリの街の守護聖人であり、今なお火山の噴火や疫病、災害などあらゆる危険からナポリの街を守っているとナポリ人に愛されている聖ジェンナーロということです。
その聖ジェンナーロが、神の恵みがあるようにと祈っている絵がバンチブックの表紙に描かれております。
これは、CACCIOPPOLIのCOSIMO CACCIOPPOLI氏の信仰心の深さから選ばれたデザインだということですが、ナポリを代表するものを表紙に使用したということで、コレクションに対する意気込みを感じますね!
COLLABORATION STYLEでは、毎シーズン、新しい生地やリニューアルされた生地、トピックになるよう生地などの中からお薦めの生地を使用し、サンプルのスーツやジャケットを作って、皆様にご紹介しておりますが、2021年秋冬シーズンの中で、まず目に留まったのがVESUVIOでございます!
このVESUVIOの品質は、生地に付いている品番のシールに100% Wool Super150's Double Twistと書かれております。
目付は、270g/mなので3シーズンタイプの部類に入りますが、経糸緯糸共に双糸で密度が詰まって織られている生地なので、他のメーカーのSuper150'sの生地と比較しても、非常にしっかりとして仕立て栄えのする生地でございます。
COLLABORATION STYLEで、Super150'sの人気生地言えば、何度もブログで比較してご紹介しておりますが、LORO PIANAのTASMANIAN®とDRAPERSのBLAZONがございます。(注:TASMANIAN®は、2021年春夏からSuper170'sにアップグレードしております)
そこに、第3のSuper150'sとしてVESUVIOが入ってきました!
いずれも、250g~270g/mの生地ですが、同じSuper150'sでも生地の風合いや発色は、それぞれ個性が有って違います。
私の感覚ですと、とろっとした非常にソフトな風合いのTASMANIAN®と、ソフトでありながらもパリッとした張りのあるBLAZON、そしてこの3つの生地の中では最もしっかりとした生地がVESUVIOでございます。
ということで、またまた前置きが長くなりましたが、今回、VESVIOの53色のコレクションの中から、私が選んだ生地がこちらです。
ダークブラウンのチェックにブルーのラインが入った、CACCIOPPOLIらしい配色の生地を選んでみました。
そして、仕上がりましたスーツがこちらです!
ラペルドベストを組み合わせたスリーピースです。
なかなか良い雰囲気のスーツに仕上がったと思います!!!
メンズのスーツ生地は、ネイビーやグレーが中心ではございますが、コロナでビジネススタイルが変化し、かなり自由度が増している部分もありますので、少しずつブラウン系の色もご提案していきたいと思います。
もちろん、同じ柄の色違いもございます。
CACCIOPPOLIらしいカラーバリエーションです。
その他、CACCIOPPOLIの得意とするクラシックな色柄を中心に全53色のコレクションがございますので、ざっとご紹介させていただきます。
織りと組み合わせたカラードストライプ。
柄を目立たせないようにベースの色に馴染むようにしたチェック柄。
このような雰囲気の柄は、特にアメリカなどで人気のある柄とのことです。
2色のラインで表現したウインドペーン
CACCIOPPOLI得意のカラードストライプ
こちらもCACCIOPPOLIのコレクションには必ずと言っていいほど入ってくる定番柄・グレンチェック&オーバーペーン
シンプルなグレンチェックは3色。ブラウンは珍しいですね。
ほぼ無地に見えるグレンチェック。
シンプルでクラシックなストライプは、柄が強すぎず、ちょうどいい塩梅です。
細かい総柄模様もCACCIOPPOLIらしい生地です。実際は、それほど目立たない柄なので、無地感覚で着ていただけると思います。
マイクロヘリンボン、バーズアイ、シャークスキンの定番の生地に、無地が11色
以上が、VESUVIOのランナップでございます!
今回のVESUVIOは、新型コロナの影響もあり、2年以上をかけて作成されたとのことですが、非常にCACCIOPPOLIらしいクラシックなコレクションにまとめられていると思います!
新型コロナの影響で、世界的に従来のビジネススタイルから服装が変化している状況で、多くの生地メーカーが、スーツ生地に関しましても、ストレッチ生地やジャージー生地などの目新しい素材の提案が多くを占める中、個人的には、クラシックな梳毛のスーツ生地の新しいクオリティはとても貴重なコレクションだと思います。
ということで、今回は、2021年秋冬シーズンの新作生地の中から、CACCIOPPOLIのVESUVIOをご紹介させていただきました。
東京もどんどん涼しくなっていきますので、どんどんお薦めの秋冬生地をご紹介してまいりますので、どうぞお楽しみに!!!
COLLABORATION STYLE 上原祥意